フォニックス(Phonics) の 扱い方、考え方 – 子供英会話編

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フォニックス(Phonics) の 扱い方、考え方 – 子供英会話編

この記事は MyPace English (MPE) の英会話講師向け 研修資料と 講師との対話の 一部を 抜粋・編集したものです。

Q. フォニックス(Phonics)って何ですか?
A. MPE では フォニックス(phonics) を次のように 説明しています:

フォニックス(phonics) : 音素(おんそ / phoneme) 規則化した発音教授法。 英単語を分解し、最小単位の音(音素)から英語の発音を体得する学習法。

Q. MPE では フォニックス(Phonics)を 子供英会話に取り入れていますか?
A. はい。 フォニックスは 日本人の苦手な音(音素)を 繰り返し発話し、英語発音の最適化に 有効な、音声学アプローチの初歩で あると 考えます。 ただ フォニックスを中心に 置きすぎると、音韻、 音節 (syllable)や、韻律(イントネーション)、英語操作能力(センテンス単位で 英文を作り、発話する事)とバランスが取れなくなるので、フォニックスを中心に 英語を学ぶ という プログラムではありません

* 音節(syllable): 英単語 で 母音を中心とした音のまとまりの1単位こと。 例) egg は母音が一つで 一音節。

フォニックス(音素)よりも、音韻、音節 (syllable)単位で捉えた方が、理解しやすい例:

例1 – 母音の微妙な違い
cap – cup – cop を 音素単位で分解しても、単語全体の音の響きの 違いが分かりにくい。
cap = k – ae – p とするよりも、cap – cup – cop を連続して 発話した方が 真ん中の 母音の違い a-u-o と、音節 (syllable) の違いが 分かりやすい。

フォニックス(音素)に分解すると、英語本来の 韻律・リズムが 伝わりにくい例

例2 – 子音クラスター (Consonant cluster)
duck の d は 発音できるが、 candle の dle 音節 (syllable) が 日本人には 発音しにくい。
noodle – candle – middle と dle の 音節の発音の繰り返しが大切。

その他: 日本人の英語発音の弱点として、弱母音が発音できない事が挙げられます。
フォニックスのルール(音声学)で、弱母音を説明するのは 難しいです。(その母音だけでなく 前後の母音と連動したルールがあるから) MPEでは 弱母音を 韻律の要因 と考え、 音韻や、音節の観点から 弱母音を教えるようにしています。

Q. ある英語教室で フォニックスから 英単語の綴りを学べると 聞きましたが 本当ですか?
A.  フォニックスが 綴り字と発音との間に規則性を明示する という事は 誤りではありません。 ただ、子供が覚える英単語は 頻出・最重要のものばかり。 子供の覚えるべき基本的な 単語は 綴りと発音に 例外が多いのです。 例) 最も 基本的な動詞、 be – have – give – get – take は 不規則動詞です。 これと同様 英語の 音声と綴り の関係も 基本的な単語程 例外が多く見受けられ、発音の規則性を明示しながら、綴りに当てはめると、生じる矛盾が少なくありません。

例) one – two –three – four – five…
赤字の部分を 音から 綴りを推測するのは 不可能です。 フォニックスに頼りすぎると 頭の良い子ほど、算数の公式のように フォニックスの綴りの法則 が万能だと考え、悩んでしまいます。

また 弱母音に関しても、綴りの混乱が起こります。

elephant の a と ticket の e は同じ 音なのに 何故、a と e と違う文字になるの?
そう問われて、子供たち に分かるように 答えられる 英語講師が 日本にいるのでしょうか? (もし、いたら MPE の英会話講師に 今すぐ 応募!)

まとめ: フォニックスに関する MPE の考え方
1 フォニックスを 特別な 学習法と考える必要は ありません。 簡単に言えば 発音記号 と フォニックスは 同義語です。 (目からウロコ とある講師)
2 英語の発話は、a) フォニックス(音素)、b)  音韻、 c) 音節 (syllable)や、d) 韻律(イントネーション)の 4つの視点から 考える。 フォニックス(音素)の体得だけでは、センテンス単位の 正しい発音は できない。
3 フォニックスから 綴りが 分かるのは R と L、V と B など、子音が中心。 2重母音の綴りを フォニックスで規則化することは 不可能です。 それも踏まえて、子供に綴りを説明する時、フォニックスに頼りすぎない。

備考: アメリカ国立小児保健発達研究所(National Institute of Child Health and Human Development)の 2001年の アメリカ人の子供の母国語教育に関する調査で フォニックスを用いた教育 は効果があるとの 報告が出されています。 ただ、その結論には、社会的・経済的地位の低い生徒にとって特に有益である の一文があります。 日本で英語を個人レッスンで習う子供は 恵まれた子供たちで、母国語(日本語)の操作力も 水準以上です。 これが何を意味するのか、ぜひ考えてみてください。

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